若い世代がレトロに見いだしている新しい価値とは何か。一つは、「デザインの面白さ」だ。

大分県豊後高田市「豊後高田昭和の町」/町全体がリアル昭和。年季の入ったガソリンの計量器など各店に眠る昭和のお宝を「一店一品運動」として展示。もはや昭和ミュージアム(撮影/山本有)

「クリームソーダの着色料の色のどぎつさや、80年代のアイドルのフリフリの衣装、平成初期のスケルトン家電などに見られる、デザインの『過剰さ』。そこがアップル製品に代表される『シンプル・イズ・ベスト』的なものとは対極で、すごく新鮮に映っていると思います」
 

青森県青森市「ニコニコ通り商店街」。訪れれば昭和レトロの連続に大興奮必至!(撮影/山本有)

 もう一つは、「アナログの心地よさ」だ。コンテンツと直接向き合っている感覚さえあるスマホに対し、テープレコーダーのボタンをガチャンと押して再生したり、「写ルンです」のシャッターをカシャリと押すといった行為からは、間に物理的なメディアがはさまっているという実感が得られ、楽しい面もある。若い人たちには「相当響いているのでは」と高野さんは言う。

「もちろんデジタルの方が便利で、良いに決まっている。でもアナログの面倒くささも逆に、たまに土鍋でご飯を炊くのもいいよねと思うのと同じように、『人生の味付け』として心地よく感じているのだと思います」

(編集部・小長光哲郎)

AERA 2023年11月6日号より抜粋

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