政府はこれで十分だと太鼓判を押しているようだが、この量では有事や大災害を想定したものからほど遠い「10年に一度の不作(作況指数92)や、通常程度の不作(作況指数94)が2年連続した事態」が前提でしかない。世の中が平和である時はこれでもいいのだろうが、冒頭で述べたような有事の際にはまったく意味を持たないのではないか?

 日本に直接関係する有事にでもなると、海外にほぼ100%依存する農業機械向けの石油燃料と化学肥料や化学農薬の原料は大きな制約を受けずにはいられない。平均年齢68歳の稲作「高齢者農業」を支えてきたのは、農業機械化と化学肥料・農薬である。

 そのほか、ほぼすべてを海外に依存する超低自給率の小麦・大豆・トウモロコシ、肉類に食用油原料、野菜類や加工食品、魚介類の輸入も、平和のときとまったく同じようなわけにはいかないだろう。

 四方を海で囲まれた日本列島自体が海上封鎖される可能性もなくはないが、最も懸念される事態は、マラッカ海峡や台湾海峡、インドネシアからグアムまで膨らんで日本列島に至る第二列島線(中国が想定する海上軍事線)を通過する船舶のリスクである。アメリカがついているさ、という声は海のかなたに消えてしまう恐れがある。

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東京や大阪の自給率はゼロに等しい