「わからない」が面白い
その思いから、17年にクラブを創設。わずか16人から始まったクラブは、今や260人近い子どもたちが参加するまでに。コーチの出身国も南アフリカやオーストラリアなど様々だ。
だから、原則英語でコミュニケーションをとる。理解できない子どものために通訳を置いたこともあったが、すぐにやめた。徳増さんは言う。
「最初は言葉が理解できなくても、スポーツを通してわかるようになる過程を体験させるほうがいいと思いました。通訳がつくと、その日本語に頼っちゃうでしょう」
言葉がわからないから、コーチや仲間の意図することを心で理解しようとする。それが想像力やコミュニケーション力を育てていく。
わからないのは言葉だけではない。生まれ育った環境が違えば、その考え方も大きく変わる。その違いこそが、ラグビーが大事にする多様性だ。徳増さんは目を細めながら言う。
「河川敷で練習するとき、ある保護者から『犬を連れて行ってもいいか』と聞かれて、驚いたことがあります。日本ではスポーツの練習にワンちゃんを連れてくるなんて想像できないけど、海外では普通だったりする。そういう質問がくるっておもしろいと思いませんか?」