内田:でも、日米関係にも複数のパイプがある。「これがアメリカの国家意思」だというかたちで提示されるものも、どのパイプから来た話かで、ずいぶんニュアンスが違うと思うんです。ホワイトハウスから伝えられる情報と、連邦議会から伝えられる情報と、在日米軍の司令官から伝えられる情報では、すべて温度差が違うはずです。だから、アメリカがほんとうは日本に何を求めているのかを知ろうとしたら、複数のソースからの情報を突き合わせる必要がある。でも、日本の政治家や官僚や学者たちが、米国内にそれぞれ信頼できる個人的なカウンターパートを持っていて、そこからの情報を突き合わせて、アメリカの意思を知るという作業をしているようには見えないんです。

 大型固定基地を持ち続けたいと思っているのはとりあえず在日米軍だけだと僕は思います。それよりもっと緊急性の高い分野に国防予算を集中すべきだという議論は保守論壇では高まっている。「在外米軍基地は全部撤収しろ」という過激な主張をなす共和党ランド・ポールのような議員もいましたが、いまは民主党のロバート・ケネディJr.も同じことを主張している。アメリカといっても一枚岩ではない。

白井:自民党の中にも「このままいくと、日本はアメリカの弾除けになって焦土になる」と現状認識している政治家は何人かいるはずです。けれども行動を起こせないという状況にあるのでしょう。中には「もう一度焦土になるところからやり直すしかない」と、ある意味で諦めの境地になっている政治家もいます。

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