大学は17時に終わる4時限までに多くの科目の授業を設定するとともに、20時40分に終わる6時限の授業がほとんどないように時間割を工夫した。

「学生たちもこの時間割に慣れてしまうと、不満の声を聞かなくなりました」

90分に戻したら学生は怒る

 一方、明治大学と同じ17年に100分14回授業を導入した芝浦工業大学はどうだろうか。

 芝浦工業大学は私立の理工系大学としては唯一、文部科学省からトップレベルの国際化の取り組みを推進するスーパーグローバル大学創成支援事業の補助金を受けている。

「それによってコロナ前は年間約1600人の学生が留学していました。100分14回授業を実施することによって、従来よりも2週間長い夏休みを設定でき、海外協定校の学生とプロジェクトチームを結成してさまざまな課題の解決に取り組む『グローバルPBL(Project Based Learning)』などに余裕を持って参加できるようになりました。それが当時の大学執行部が100分授業を導入した一番大きな理由だったと思います」

 同大教育イノベーション推進センターの榊原暢久(のぶひさ)教授こうは説明する。

 さらに、同大情報システム部の鈴木洋部長(教育イノベーション推進センター事務課長を兼務)は、こう付け加える。

「学生たちは長くなった休みを利用して海外研修プログラムやグローバルPBLなどのスケジュールをびっちりと組んでいきます。本学ではそれが完全に定着している。なので、もし仮に、授業を90分15回に戻すと言ったら、学生は怒ると思いますよ」

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