慶応高の選手は思い思いの髪型で野球に臨む

「沖縄のチームは、球場が独特のムードになるんです。いたるところで指笛が鳴って、中には踊ってる人もいて(笑)。森林(貴彦)監督には沖縄の高校との試合ということもあり、この雰囲気に飲まれずに頼むぞ、とLINEで伝えました」

 慶応高といえば、これまでの高校野球のイメージである坊主頭でないことが、盛んに取り上げられ、注目を浴びている。これについて上田さんは「私の監督時代はここまで積極的に取り上げられることはなかった。ただ単に変わり者扱いされて終わりでした。髪がなびいていることが高校野球のイメージと合わなかったのでしょう。いまやっと時代が動いて来たと感じています」

25年間、慶応高を率いた上田誠前監督 上田さん提供

 しかし、上田さんは自由な髪型は良い、坊主は悪いというような髪型に主に焦点を当てた「脱坊主」報道が盛んになされることに、ある違和感を抱いているという。「慶応義塾が注目されることで、『脱坊主』が広まっていくことは嬉しいこと。ただ今回、慶応が取り上げられる前から花巻東など、坊主を強制しない高校はありました」としたうえでこう話す。

「しかし、この『脱坊主』が増えてきた背景にある、アマチュア野球界が抱える深刻な問題が、十分に報じられていないと思います」

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アマチュア野球界で進む野球離れ