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 1960年代にアメリカで行われた17歳のふたご900組弱を対象としたアルコールや薬物依存と問題行動と住む環境ついての研究では、女子に関してのみ、遺伝の影響については都会の方が大きく(都会44%、田舎2%)、共有環境は都会より田舎の方が大きい(都会9%、田舎62%)という傾向にあった。このような女性の住環境の自由度の違いに対して、結婚しているか、していないかの角度から見た研究がある。行動遺伝学者の安藤寿康氏の新著『教育は遺伝に勝てるか?』(朝日新書)から一部を抜粋、再編集して紹介し、行動遺伝学の視点からみた“女性の自由度”について紹介する。

【図】遺伝と環境が子どもに与える影響はこちら

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 女性の環境の自由度の違いに対して、住んでいる地域とは別の角度からの研究があります。それは結婚しているか、していないかの違いです。女性は既婚者と未婚者でどちらの方が自由度が高いでしょうか。

 結婚する前は自由にお酒を飲みたければ飲めるし、飲みたくなければ飲まなくてもよいけれど、結婚すると夫の世話や子育てで飲みたくても飲めない、あるいは夫に付き合って好きでもないお酒を飲まねばならない。だから結婚前の方が自由だと考える人はいるでしょう。

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飲酒に関する自由度は未婚の方が高い