大阪桐蔭時代の根尾昂
この記事の写真をすべて見る

 熱戦が続く夏の甲子園。近年はトレーニングの影響もあって大人顔負けの体格の選手も多く、甲子園でもスタンド中段に飛び込むホームランも珍しくなくなっている。中田翔(大阪桐蔭)、清宮幸太郎(早稲田実)、そして今年の佐々木麟太郎(花巻東)と歴代の高校通算最多本塁打数がどんどん増えていることも現在の高校野球がパワーの時代であることを象徴していると言えるだろう。

【写真特集】「伝説の女子マネ」も登場! 増刊『甲子園』の表紙を飾ったチアたち

 しかしそんな現代の高校野球に大きな変革が訪れようとしている。来年春のセンバツからバットの基準を変更。従来のものよりも反発性能が抑制されることになったのだ。これにはいくつかの狙いがあると言われているが、大きいのが安全面の確保だ。大人顔負けのパワーを持つ打者が飛びやすい金属バットを使うことで打球速度は投手の投げるボールよりもはるかに速くなり、投手や守備についている野手に直撃した時の事故は大きなものになる危険性も高まっている。また現在の金属バットでは軽く合わせただけでもヒットや長打になるケースも増えており、投手への負担が大きいことからそれを軽減するという狙いもある。

 ではこの低反発のバットで高校野球はどのように変わるのだろうか。可能性として考えられるのはホームラン、長打が減ることによって、守備力と機動力が再び重要視されることである。近年では多少のミスがあってもビッグイニングで取り返すというケースも目立つが、そういうことが起こりづらくなれば、当然1点の価値も高くなり、堅実に守れるチームが結果を残しやすくなるのではないだろうか。

 そうなった時に力を発揮しそうなチームの代表格と言えば明徳義塾(高知)である。甲子園優勝は2002年夏の1回だけだが、その後もコンスタントに上位に進出を果たしており、堅実な戦い方は完全にチームカラーになっているのだ。一昨年の夏も準々決勝まで勝ち進んでいるが、4試合のスコアは3対2、8対2、2対0、2対3といずれも相手の攻撃をしっかり抑え込んでいることがよく分かる。

次のページ
もう一校、強くなる可能性ある学校は?