コロナ禍の対策についても、すごく単純化すると、次のように対策をまとめることができます。

 (1) コロナが2年続いてもなんとか耐えられる→その間に経営を筋肉質にしておく

 (2) 耐えられない→損失を最小に抑えるために事業を縮小するか、撤退する。

 このような具合で、対応策について、考えることができます。

「業績が悪いけどコロナだから仕方ない、とにかくがんばるしかない」などと思っていると、ずるずる損失を出し続けて、気づけば取り返しがつかない状態に陥ることもあります。

「自分でどうにもならないこと」に対しての向き合い方としては、メジャーリーガーの大谷翔平選手の考え方が参考になるでしょう。

 彼は花巻東高校で高校野球をやっていたときに、マンダラートと呼ばれる思考ツールを使っていたことが話題になりました。

 とくに注目を集めたのは、大谷選手が「ドラフト1位で8球団から指名を受ける」という目標までの要素の一つとして、「運」という項目を挙げていたことでした。

 そのマンダラートをみると、運を味方につけるための行動として「あいさつをする」などが重要な要素となっていると、大谷選手は考えていたのです。

 一見すると、運を向上させるためにあいさつをする」というのは、科学的な解決策とは言えません。でも、運を良くするために、「あいさつ」以上に、自分の力で行えることなんてありません。そういう場合には、それでいいのです。

 逆に、運の要素にこだわりすぎて「たくさんお寺に行く」「有名な神社で神頼みする」みたいな方向に走ってしまっていたら、あまり成果は得られなかったかもしれません。

 そうではなくて、自分でコントロールできない領域のことにこだわりすぎないことが重要なのです。その分の力を、コントロールできるところに配分するのが戦略的な考え方と言えるでしょう。

●岡 健作(おか・けんさく)
 スタディーハッカー 代表取締役社長
 1977年生まれ、福岡出身。同志社大学(文学部英文学科)在籍中から英語教育に関わる。大手学習塾の講師・教室長を経て、2010年に京都で恵学社(現:スタディーハッカー)を創業。“Study Smart”(学びをもっと合理的でクールなものに)をコンセプトに、第二言語習得研究(SLA:Second Language Acquisition)などの科学的な知見を実際的な学びの場に落とし込んだ予備校を立ち上げる。予備校で培った英語指導ノウハウを活かした社会人向けの英語のパーソナルジムENGLISH COMPANYを2015年に設立。その他、学びやスキルアップにまつわるアプリ開発なども行っている。著書に『TOEIC(R)テスト科学的攻略法』(秀和システム)『逆転合格を実現する 医学部受験×パーソナルトレーナ』(幻冬舎新書)などがある。

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