ビジネスパーソンの多くは、自らのスキルアップのために、勉強しています。学生と違って、勉強の成果が収入の増減につながるかもしれないビジネスパーソンにとっては、限られた時間のなかで、無駄な「努力」をせずに、効率よく勉強して成果を上げなければなりません。そのためには、自分のしている勉強が正しいものかどうか、常に考えていなければいけません。最近出版された『9割の「努力」をやめ、真に必要な一点に集中する勉強の戦略』(岡健作著・朝日新聞出版)を一部抜粋し、勉強の目的と、現在抱えている課題について把握する重要性を解説します。
【図版】どういう努力が必要かがわかる、有名大リーガーが使った思考ツールはこちら
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■「目標」から逆算して「目の前の課題」をあぶりだす
当たり前と思われるかもしれませんが、「目標」と「目の前の課題」は異なります。
目標とは「英語でコミュニケーションを取れるようになりたい」みたいなものであり、目の前の課題とは「知っている英単語が少なすぎる」といったことです。
つまり目標と比較すると、目の前の課題は、その名の通り、すぐそこまで差し迫ったものになっています。
もし英単語をぜんぜん知らない人ならば、「英語でコミュニケーションを取る」という目標があったとしても、いきなり英会話を始めたところで成果は出ません。
まずは、英会話をするために必要な単語を覚えないといけない。
「目標」の達成を見据えた上で、どういった「目の前の課題」に、どのようにして取り組むか、を考えること。それが「戦略を立てる」ということです。
■課題発見の理想は、医師の診断
課題は、最終的には「具体的な行動」のレベルにまで分解するべきです。
たとえば、自分で「英語の課題は何か」と考えてみましょう。
実は「英語の勉強は大学受験レベルで止まっていて、TOEICは500~600点ぐらい。リスニングがとくに苦手」というレベルの分析だとまだ不十分です。
というのも「リスニングが苦手」といっても、「なぜリスニングが苦手なのか?」は、人それぞれだからです。