もしかしたら、実際に、取り組んでみた方もいるのではないでしょうか。しかし、いきなりそういったメソッドを試しても、うまくいかない可能性は高いのです。

 その理由は、非常に明快です。

 先ほどの医師のたとえを使うのであれば、課題があいまいなままメソッドに飛びつくのは「お腹が痛いから、とりあえず開腹手術をしよう!」と言っているのと同じです。ちょっと飲みすぎたくらいで、お腹をメスで切られるのは普通ありえませんよね。

 そもそも「メソッド」とは、すでに明確になっている「課題」を解決することに特化した手法のことです。

 だから、そもそもの課題がわからないのに、メソッドを選ぶことはできません。

 また、1~10まですべての過程で使える「トータルメソッド」みたいなものもあります。でも、もしかしたら、今の自分のレベルは「5」ぐらいかもしれないのに、杓子定規的に、1~4まで馬鹿正直に勉強しなおすのは、大変効率が悪いものです。もうクリアしているところにまで、余計な時間を使うのは、とても戦略的とは言えません。

 もちろん、「メソッド」のすべてを否定しているわけではありません。課題に対して適切なメソッドを選べば、効果はあります。

 ただ、勉強におけるメソッドとは、あくまで課題解決に向けた処方薬なのです。頭痛のときに胃腸薬を飲む人はいません。

 まずは、そもそも何の病気なのかを明確にすることから始めましょう。逆に言うと、何の病気かさえ分かってしまえば、どう対処するのかは自ずから決まってくるのです。

■その課題は、「自分の力」で何とかなるのか?

 ロジカルに課題を発見した後には、発見した課題を分類しましょう。

 分類は大きく分けるとたったふたつ。自分で「どうにかできること」と「どうにもならないこと」です。

 この二つが未分類だと、取り組むべきことが判別できません。

 たとえばコロナの影響で、会社の経営が大変な状況だとしても、自力でコロナを収束させることはできません。その場合は、コロナという新たな環境を前提にした上で、再度、課題を分解する必要があるわけです。

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自分でどうにもならないことに向き合う