廃タイヤを持ち寄って家具を作ったり、車のボンネットを再利用してホワイトボードにしたり、学校内には子どもたちのアイデアで作られたものがあふれていました。これらは子どもたちが「捨てられてしまうもので何かできないか」と自主的に廃材を集めて作ったもの。この学校では一人でも自由に挑戦できる仕組みが確立していて、指導者は過度なサポートを行わないようです。
世界各国から子どもが集まってきますが、「子どもの自立」や「自主性を育てたい」という学校の強い意志を感じました。グリーンスクールの授業には教科書がありません。例えば海洋プラスチック問題を学ぶ授業では、海に行きゴミを拾う。そこで子どもたちが考えたこと、問題解決の方法を実際に行動させるのです。この「行動」「実行」が一番の肝で、とにかく理解するだけで終わりにしないのが素晴らしい。
給食やカフェテリアで使う皿は、使用後に堆肥にできるバナナの葉を使っていますが、これも使い捨て容器の廃棄問題から生まれたアイデアだそうです。「問題になっている」「自然環境のことを考えなければ」と言っているだけでは、なんの解決にもならないことをよくわかっているのでしょう。
社会の仕組みがわかるような取り組みも、面白かったですね。例えば、子どもたちが種をまいて育てた野菜をカフェテリアで提供したり、愛情をこめて育てた家畜を売りに出すことで経済が回っていることを理解させたり。子どもたちが取り組んだプロジェクトの成果物を商品としてバザーで販売し、会社を作る、販路を開拓するなど、この世の中の仕組みやお金の流れが、机上の勉強ではなく、自分たちの行動とつながって理解できるシステムです。
サル・ゴードン校長もお話しされていましたが、「若い人材の育成」は喫緊の課題であり、そのためには世界の学校のシステム、教育環境を見直さなくてはいけません。教育に携わる人たちは「国からの通達が」「学校は変えられない」とよく言いますが、この学校を見ていると「学校は変えられる」と勇気が湧いてきます。