グリーンスクールは、校舎や体育館、遊具、机や椅子に至るまで、さまざまな施設・設備が竹で作られている。壁がないのも特徴(写真提供 Green School BALI)
グリーンスクールは、校舎や体育館、遊具、机や椅子に至るまで、さまざまな施設・設備が竹で作られている。壁がないのも特徴(写真提供 Green School BALI)
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 インドネシアのバリ島に、「世界で一番エコ」と言われる学校がある。SDGs人材を育成するインターナショナルスクール「グリーンスクール」だ。2008年に開校。広大なジャングルの中にあり、3歳から18歳までの子どもたち400人ほどがが世界中から集まっている。自然や人、地域とのつながりのなかで子どもたちが主体となっていくつものプロジェクトを動かし、自分たちのアイデアを形にするユニークな授業が行われている。

【画像】どこまでもエコ!子ども達のアイデアが光るユニークな校内

 シリーズ累計100万部突破の「超基本」シリーズ最新刊『やるべきことがすぐわかる 今さら聞けないSDGsの超基本』には、著者の泉美智子さん(子どもの環境・経済・教育研究室代表)が現地を訪問し、エコ教育の最前線を取材したルポが掲載されている。そのルポを、特別に公開したい。

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 今回、インドネシア・バリまで足を運んだのは、グリーンスクールが2012年に「地球上で最もグリーンな学校」賞を受賞し、エコ教育に特化した学校だと知ったからです。日本でも情報は得られますが、自分の目で確かめたいと思いました。壁がないと言われる校舎で、多国籍の子どもたちの授業をどのように行っているのか。教師陣は子どもたちの自立心や自主性を、どのように育てているのかなど、たくさんの好奇心と疑問を抱えて現地に赴きました。

太陽光発電と水力発電の設備があり、大半の電力を時給しているという。この設備にも竹が使われている(写真 Doddy Obenk)
太陽光発電と水力発電の設備があり、大半の電力を時給しているという。この設備にも竹が使われている(写真 Doddy Obenk)

 山を切り開いて作った敷地は橋や川、牧場、畑、カフェテリア、ジム、バイオマス発電施設など、生活に必要なすべてが凝縮されているような場所で、きっと迷子になる子もいるだろうと思うほど。風や光が差し込む竹製の校舎は学校のシンボルで、まさに学校の心臓部。子どもの好奇心や五感を養い、クリエイティブに成長するために重要な役割を果たす象徴的な建物になっています。

 取材は放課後のみとのことだったので、授業の様子を見ることはできませんでしたが、動植物への水やりや餌やり、研究に没頭する子どもたちの姿を見ることができました。

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子どもたちを過度にサポートしない