ところが、おせち料理の大半は、返礼品として使われなかった。洲本市民の一人は、

「1月になって突然、おせち料理が届きました。知り合いの消防関係の人や病院勤めの人も同じことを言っていた。地元ではおせち料理が洲本市からタダでもらえると話題沸騰になりました」

 と証言する。

 市は返礼品として発注したおせち料理を、新成人のお祝いやコロナ禍の医療従事者や消防関係の人をねぎらうために、配ったのだという。前述の発注と決裁文書にも、

<一段重400個、三段重400個、計800個は医療従事者への御礼として寄付>

 と書かれている。

 洲本市では2022年3月に市長選と市議選があった。この市長選では、現職だった竹内通弘市長が退任を表明し、副市長だった上崎勝規氏が実質的な後継指名を受ける形で立候補した。市長選には他に前市議らが出馬し、激戦の末、上崎氏が当選した。

 濱野市議が説明する。

「市長選は、上崎氏と対立候補がかなりの接戦と予想されていました。そこでおせち料理を市民にばらまいて買収しようとしたのではないかと洲本市民から疑問視する声が出ている」

 つまり、おせち料理が選挙の買収に使われたのではないかという疑惑が出ているのだ。

「おせち料理が配られたのは、消防関係や医療従事者、新成人だけではなく市議や市職員、ふるさと納税登録事業者80社にもという話が広がっていた。私は、『おかしいから真相を追及して』という市民の声に押されて市議選に出馬し、当選しました」(濱野市議)

 市は今年2月20日の市議会で、

「(おせち料理は)医療関係者へ157個、返礼品として174個、成人式においては360個、返礼品業者へは153個、後は移住イベント等のシティプロモーション活動として1066個、予備77個ということで、合わせまして1987個という調査結果となっております」

 と、返礼品ではない配布を認めた。しかし、市議や市職員に対しての配布は「調査する」として明かしていない。

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市「廃棄処分になる可能性があるものだった」