「ふるさと納税の返礼品のために一頭買いはどうなのかと疑問でした。一頭買いは、淡路牛1頭すべてを買うのですが、返礼品に使うのはステーキ、すき焼きなどに使われる限られた部位ですよ。残った油、スジ肉などどう扱うのか。一頭買いをセールスポイントにしている焼き肉店もありますが、それは希少部位がほしいとか、鮮度を保ちたいという思いからです。うちは市の話は断りました」

 市のふるさと納税の返礼品リストで牛肉は、ステーキ用、すき焼き用などとハンバーグしかない。ホルモンなど他の部位はどこに消えてしまったのか。

 また、淡路牛を洲本市外の業者に発注した違反も確認された。そして、

「ハンバーグも大阪の業者が扱っており、たまねぎは淡路島産だが、肉は海外の輸入牛肉を使用していたという噂も出回っています」(前出の食肉業者)

 さらに、業者からの請求書では、少なくとも9頭の「一頭買い」の代金が同じ140万円となっていた。牛の重量など詳細なデータは書かれていなかった。

 ふるさと納税の問題を追及している濱野隆・洲本市議が憤慨する。

「牛は重量、等級など様々な要素があり値段がかわる。統一したように140万円になるのはおかしい。焼き肉屋でもないのに、一頭買いするのは問題がある」

 もう一つ疑惑が深まっているのがおせち料理だ。

 市は、2021年10月、2022年の正月に合わせたおせち料理をふるさと納税の返礼品とするため、大手旅行会社JTBの関連会社に2千セット発注した。

<新春おせち『御食国の美味しいものづくし』 淡路島玉ねぎハンバーグと淡路島わかめ麺セット>

 という商品だ。淡路島の食材を使用したおせち料理で、三段重ねなら33種類の料理が詰められていると説明書きがある。

 AERA dot.が入手した市からの発注と決裁文書には、

<一段重 1000個 @ 12000円=1200万円

 三段重 1000個 @ 36000円=3600万円>

 と合計で4800万円となる記載があった。

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市議や市職員に対しての配布は「調査する」