兵庫県・淡路島にある洲本市。「ふるさと納税」でルール違反があったとして、2022年5月からふるさと納税制度から除外され、市では第三者委員会を設置して事実関係の究明にあたってきた。そこで、次々と新たな問題が浮かび上がっている。
洲本市は2021年にはふるさと納税で全国7位となる約78億円の寄付を集め、年間約55億円の市税を大きく上回る収入をあげてきた。ところが、「洲本温泉利用券」をはじめとする返礼品が、「返礼品の調達費は寄付額の3割まで」という総務省の定めた基準をオーバーしていることがわかり、22年5月から2年間、ふるさと納税制度から除外されることになった。
AERA dot.では、洲本市の返礼品が、隣接する淡路市と同じ品なのに、設定された寄付額が淡路市よりかなり安い例が多いこと、洲本市で獲れるはずがないマグロが返礼品になっていることなどをリポートしてきた。
取れないマグロが「ふるさと納税」の返礼品? 指定取り消し兵庫県洲本市 内部文書で指摘 (1/3)<dot.> | AERA dot. (アエラドット) (asahi.com)
その後、洲本市は第三者委員会を設置して実態調査を進めている。調査では、市の全返礼品1195品のうち、国の基準に適合しないものが301品目もあったという。
新たに疑惑が深まっている返礼品の一つは、「淡路牛」だ。
市は返礼品のため、淡路牛65頭を「一頭買い」していた。しかし、16頭は出生から食肉となるまで洲本市を経由しておらず、地場産品基準に違反していた。
また、食肉牛には国で定めた10桁の個体識別番号が付与される。一頭買いなのに、なぜか同じ個体識別番号の牛が2度も代金請求されていることも判明した。AERA dot.は、業者が市に出した、同じ個体番号が記された「請求書」の写しを入手した。
地元の食肉業者は、洲本市から一頭買いの相談があったと証言する。