さらに、近年は監督が編成面での権限を持ち合わせているケースも多く、巨人・原辰徳監督、楽天・石井一久GM兼監督をはじめ、ほとんどの球団で現場の意向が編成に関わっているというのも少なからず、関係しているようだ。

「監督が契約時に編成面への権限もある程度、認められている。余剰戦力が他球団へ移籍流出した場合に戦術面を含めた情報が流出する危険性もある。自身の監督就任期間中は移籍に反対する指揮官もいる」(在京球団編成担当)

 また、2月以降にNPBで成立したトレードを見ても、その中で一軍の実績があると言えるのは後藤駿太(オリックス中日)と森原康平(楽天→DeNA)ぐらい。大物選手が絡んだものは2013年に糸井嘉男(現阪神)が絡んだ日本ハムとオリックスのトレードまで遡らないと成立しておらず、リーグの勢力図に影響を及ぼすトレードはなかなか起こらないのが日本の特徴でもある。

「監督、コーチという職に就いた者がリスクを犯したくない気持ちもあるのではないか。移籍などによる選手補強は、現状のような凪の状態がしばらく続きそうでもある」(スポーツマネージメント関連会社)

 FA市場を見ても、昨年オフは“目玉”と称された大瀬良大地(広島)、梅野隆太郎(阪神)、宮崎敏郎(DeNA)らが揃って残留。中日からFAとなった又吉克樹がソフトバンクに移籍しただけだけでこちらも静かな動きとなっている。

「最大の理由はコロナ禍によるNPB球団の経営悪化。(観客数の上限がなくなり)通常営業に戻っているが、各球場が集客に困っており満員になる試合の方が少ない。チケット、グッズ、飲食などを含めた興行収入は軒並みダウンしている。収益が悪くなれば人件費を減らさざるを得ないのは、どのビジネスでも変わらない」(スポーツマネージメント関連会社)

 収益が下がった場合、経営を成り立たせるためにはどこかの予算を削る必要があるが、一番最初に手をつけるのは人件費=選手の年俸となってくる場合が多い。実績がある高額年俸選手より、戦力として計算ができるレベルの若手選手を多く抱えた方が良いとなりつつあるようだ。

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今オフのFA市場にも注目