ゆずは結局、出会って1週間後にわが家にやってきました。最初は後ろ足を引きずるようにして歩いて、トイレの時はペットシーツまで行くものの、便が軟らかく、うんちまみれ。
うちは共働きで、娘も大学生で、家は留守がち。先生も「(高所に)飛べないような猫なら病院の子にするので」とおっしゃってくれたのですが、2週間もすると、ゆずは小走りし、トイレも問題なくできるようになり、柵も飛べるようになりました。
けれどほっとしたのもつかの間、試練は続きます。
家にきて1カ月後くらいに、ライムが台所に入らないように置いた“柵”を越えようとして、ゆずが後ろ足を引っかけて指をけがしました。最初は小さな擦り傷だったのがだんだん腫れてしまい、傷口をとにかくなめる。かさぶたができるとなめて、かさぶたがはがれるとまたなめて血が出ての繰り返し。
病院では「常同障害」と診断されました。常同障害とは、爪をかんだりグルーミングするようないわゆる普通の行動が、脳の問題やストレスなどで頻度を増すこと。
靴下をはかせても脱げるので、病院で伸縮性の布をもらって体から足先まで覆うお洋服を作りました。すぐに汚れるので3日おきに作るうちに服作りが“進化”して、看護師さんたちに絶賛されたほど! 「早くよくなあれ」と思いながら洋服を作るたびに、愛情が湧いていきました。
7月下旬には去勢手術をしたのですが、その際に、(横隔膜の前の傷痕が開きそうになっていたので)おなかの再手術もしました。まさに満身創痍。でも、いつもおとなしくしていました。
先住の動物との関係はといえば、チワワのライムとはつかず離れず。雌猫レモンは最初こそ威嚇をしましたが、甘えたいゆずを受け入れて、可愛がるようになりました。
そうして3匹の生活が続いていたのですが、8月半ばに子猫が増えました。
私の職場(介護施設)の通用口の横に段ボールが置いてあり、生後1カ月くらいの子猫が5匹入っていました。幸い、猫好きが多い職場だったので、もらい先がどんどん決まり、うちでも雌1匹を引き取ることにしたのです。