さまざまな国からの人々で成り立つカタール。治安はどうか?
「不安を感じることはまったくありません。夜、街を歩いても大丈夫です」
そんなカタールは、首長が全権を掌握する君主制の国でもある。現在、1980年生まれのタミーム首長がこの国を治めている。
「タミーム首長は元首ですが、『国王』という言い方はしなくて、『首長』と言う。一方、サウジアラビアではサルマン氏を『国王』と呼ぶ。その違いは、アラブ世界ではサウジアラビアが本家であることに由来するようです」
カタールは71年に英国から独立してからも、代々、首長家であるサーニ家が首長を出してきた。ある意味、「独裁体制」のようにも見えるが、「雰囲気的にはそんな感じは全然ありません。まったく民主的です」。
そう言って、仁藤さんが挙げたのは衛星テレビ局「アルジャジーラ」の存在だ。
ドーハに本社を置くアルジャジーラは96年にカタール政府などが出資して設立された。その報道は一定の公平性を保ってきた。そのため、「中東のCNN」とも呼ばれる。
さらに仁藤さんは、こう説明する。
「国営のカタール石油に勤める人のほとんどがアメリカやヨーロッパの大学で学んでいます。民主的な国がいかなるものか、よく知っています。彼らと付き合っていて、独裁的な雰囲気を覚えることはありません」
砂漠は特別な場所
カタールで暮らす一般の人々の雰囲気を肌で感じられるのが、「スーク」と呼ばれる市場だ。ドーハの旧市街地にある「スークワキーフ」はカタール最大の市場で、石畳と土塀に囲まれた通路はまるで迷路のよう。
「観光客だけでなく、地元のカタール人も買い物や食事を楽しみにやってきます。衣料雑貨や日用品だけでなく、金や宝石を販売している店もある。一方、新市街地には外国資本のスーパーマーケットがたくさんあります。スケート場を併設している店もある。移動は地下鉄やバス、タクシーを利用できますが、ドーハ市街地は徒歩でも十分に楽しめます」
カタールで一番人気のある観光は砂漠ツアーで、四輪駆動車で砂漠を縦横無尽に駆け巡る。仁藤さんによると、砂漠は観光客だけでなく、カタール人にとっても特別な場所らしい。