首都ドーハの旧市街地(写真/仁藤裕二さん提供)
首都ドーハの旧市街地(写真/仁藤裕二さん提供)

「カタールを訪れた際、友人に頼んで砂漠クルーズに連れて行ってもらいました。会のメンバーが友人の仲間の車に分乗して砂漠を走り、キャンプを楽しみました。彼らにとっても昔の遊牧民に戻ったような感じで心地よさそうでした」

 観光用のラクダもいる。カタールのラクダはヒトコブラクダだが、うまく乗れるのか?

「ラクダ引きがうまくやってくれますから大丈夫です。鳥取砂丘でラクダに乗るのと同じですよ」

スパイスをふんだんに使ったアラビア料理(写真/仁藤裕二さん提供)
スパイスをふんだんに使ったアラビア料理(写真/仁藤裕二さん提供)

 食事については「カタール料理」というものはなく、近隣の国と同様に「アラビア料理」を食べることが多いという。

「主食は細長い米と、『ホブス』と呼ばれる薄いパンです。このパンにひよこ豆のペースト『ホンモス』などをつけて食べます」

 一方、イスラム教の国なので、不浄とされている豚肉とその加工品は口にしない。「豚の素材でだしをとるラーメンもダメです」。

 ただ、それ以外の肉は普通に食べられているそうで、「インドカレーの店もあちこちにあります」。魚料理も楽しめる。「ただ、味つけはスパイスを利かせたものが多いです」。

独立直後の1973年に設立されたカタール大学(写真/仁藤裕二さん提供)
独立直後の1973年に設立されたカタール大学(写真/仁藤裕二さん提供)

アラビアンコーヒーの味

 変わった食べ物としてはナツメヤシの実「デーツ」がある。

「大きさは親指くらいで、干し柿のような食感と濃厚な甘みがあります。最近、日本でも売られていますが、アメリカ産などで、カタール産のデーツを見ることはほとんどないですね」

 デーツは作物がほとんど育たない砂漠でとれる貴重な果実で、昔から日常的に食べられている、いわばカタール人にとってのソウルフードだ。

 コーヒーは、本場の「アラビアンコーヒー」である。

「コーヒー豆にカルダモンやサフランなどの香辛料を入れて煮立て、それを小さなカップで飲みます。コーヒーというよりも、カルダモンの香りが強い飲み物です」

 イスラム教の戒律によって、街中ではアルコール飲料は販売されていない。「でも、ホテルでは外国人向けに普通に注文できます」。

 ネット上では、カタール全体やドーハのことを「世界一退屈な国」や「退屈な街」などと書いているものもあるが、述べてきたように多種多様な魅力にあふれている。そして、そこに暮らす人々のほとんどが外国人という実に不思議な街でもある。そんなことを思い浮かべながら現地のサッカー中継を見ると、さらに面白みが増すだろう。

(AERA dot.編集部・米倉昭仁)