■デンマークでは子供の5~8%が父親だと思っている人と血がつながっていない

 子供の視点からみると、出生の事実を教えられたほうがいいと考えているのだろうか。そう問うと間髪を入れずにこう答えた。「もちろんそうです。できるだけ早く告知するのがベストです。それは専門家の間でもコンセンサスができています。3、4歳までに子供が『自分がどこから来たのか』と親に聞くことがあります。そのとき事実をきちんと伝え、そのあとも継続的に教え続けることです。そうすると子供は何の抵抗もなく受け入れます。問題は起きません」

 しかし、もう一つの問題があるとも言う。「デンマークでは子供の5~8%は自分が父親と思っている人とは血がつながっていません。コペンハーゲンにあるジョン・F・ケネディー・インスティテュートのマーガレッタ・ミケルセン教授は私にこう言いました。『毎年腎疾患の子供が100人くらい来るが、まず腎臓提供者として親を第一候補として考えます。そこで血液型検査をすると、5~8%が父親と生物学上つながっていないことがわかりました。もちろんそのことは子供には言いません。ただ移植には合わないというだけです』。これは妻が浮気をして子供を作り、そのことを夫は知らないということを意味します。ですから、子供が生物学上の父親が誰であるかを知ることはすべての人にとっての権利ではないということです」

 この衝撃的な事実と出自をめぐる権利についての著者の提言については、本書『私の半分はどこから来たのか』に詳しく書かれている。

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