森保一監督。ドイツ戦に勝利した翌24日の練習で(写真/アフロ)
森保一監督。ドイツ戦に勝利した翌24日の練習で(写真/アフロ)
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 日本中が興奮のるつぼと化したドイツ戦での勝利。その驚くべき結果に、世界中が目を丸くした。日本のサッカー史に新たな1ページを加えたのは、見事な采配で大逆転劇を演出した日本代表・森保一監督だ。大一番となる27日のコスタリカ戦を前に、現地カタールから選手の声を交えて、彼の“思考”を読み解く。

【写真】W杯ドイツ戦の国歌斉唱で感極まって涙を拭う森保監督

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 前半の劣勢も、後半の攻勢も、森保一監督にとっては織り込み済みだった。相手は強豪国ドイツ。先制を許せば、敗色濃厚。だが、日本はこれまで見せてこなかった戦いをこの大一番で実践し、見事な逆転劇を演じてみせた。

 前半33分にドイツにPKを決められた時点で、後半の展開を予想できた人はほとんどいなかったのではないか。しかし、当事者である選手たちにとっては、想定内だったという。理想は0-0でハーフタイムを迎えることだったものの、0-1のケースもあらかじめ想定していたと、吉田麻也キャプテンは試合後に明かした。

「失点はプランではなかったですけど、プランどおり我慢してブロックを作って、後半サイドの選手が違いをつくる、スペースができる、我慢してショートカウンターを打つ。あまりにもプランどおりに事が進んでびっくりしていますけど、そのとおりにいったことは素晴らしかった」

選手が語る3バックの“評価”

 大逆転劇の要因として大きかったのが、後半開始時のシステム変更だ。

 日本は4-2-3-1から3-4-2-1へ形を変えた。2020年の欧州遠征のパナマ戦では試合開始から、カメルーン戦では後半からテストしたことはあったものの、最近はもっぱら試合終盤に採るシステムだった。

 ただこの日は、1点を追う状況で後半開始から採用した。前半自陣に押し込まれた状況を改善するためだ。ドイツのトップ下で自由に動くミュラーと頻繁に左サイドから内側に入って来るムシアラのプレーに悩まされ、さらに相手左サイドバック、ラウムの進出を許したために、前半の日本は長い時間、自陣でのプレーを強いられた。チームコンセプトである「良い守備から良い攻撃」を実践するためには、まず守備の安定が欠かせない。そのための一手が、3バック(5バック)の採用だった。

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