森保一監督(写真/アフロ)
森保一監督(写真/アフロ)

 ドイツ戦の4日前から実施された非公開練習でも3バックに特化した練習は行なっていないと、指揮官も選手たちも話している。それでも遠藤航によれば、「別に(練習を)やっていなかったですけど、常にオプションとして持ってるということは、(森保監督が)チームに話してくれていたし、それがじゃあ守る展開なのか、(点を)取りに行く展開なのかで、やるみたいなことは言っていた」と、常に意識してきた形ではあったという。この大一番で点を取り行くために「いつでもできる」3バックを採用し、見事に結果につなげたということだ。

W杯本番で超攻撃的陣容

 システム変更とともにもう一つ、逆転の要因として語り落とせないのは、終盤のカードの切り方だ。

 3バックの採用に伴い、46分に久保建英に代えて冨安健洋をピッチに送ったのは、わかる。57分に長友佑都に代えて三笘薫を左ウイングバックに入れたのも1点ビハインドの状況にあり、ゴールを取りにいく必要があったので理解できる。三笘の背後に冨安が構えており、日本が誇るドリブラーの守備の負担を軽減しつつ、バランスを保てるとの判断もそこにはあったかもしれない。

 同じく57分に前田大然に代えて浅野拓磨をピッチに送ったのも、前半から相手DFにプレッシャーをかける役割を担った前田の消耗を考慮し、浅野の一発に期待した交代と考えればわかりやすい。いわば、想定内の交代だろう。

 ただ、ここからの采配は驚きだった。森保監督は、ドイツの予想の上を行くカードを切っていく。

 71分に田中碧に代えて堂安律、75分には酒井宏樹に代えて南野拓実をピッチに送った。酒井がベンチに下がったことで、右ウイングバックはシステム変更に伴い、右サイドハーフから右シャドーにポジションを変えていた伊東が担当。両ウイングバックが左は三笘、右は伊東で、ともに純然たるアタッカーになった。そして3-4-2-1変更後、左シャドーでプレーしていた鎌田はボランチに下がった。フィールドプレーヤーは、6人の攻撃的な選手と3人のCBと守備能力の高いボランチの遠藤という構成。超攻撃的な陣容で日本はゴールを奪いにいった。

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森保監督自身が明かしたシステム変更の意図