もう一方の「生存原理」とは、人間の個としての生存や種の保存にかかわるものだという。病気や困難に直面したときは、一人より、そばに助けてくれる人がいた方がいい。子孫を残すという点でも、既婚者は独身者より幸福度が高いとされるそうだ。よって、人間はその生存原理からも、結婚を求める生き物なのだという。
「結婚は相手の承諾が必要ですから、滅多にチャンスがあるものではありません。簡単には手に入らないという点で、お金を出せば満たすことができる食欲とは異なります。だからこそ人間は結婚に非常に大きな関心を抱き、他人の結婚にまで興味を持つのだと考えられます」
とはいえ、だ。
先のスポーツ選手や小室さん夫妻の件では、憶測に基づいての否定的なコメントや中傷的なコメントまであった。
結婚に「非常に大きな関心」を抱くのが人間の性だとしても、なぜわざわざ否定的なコメントを書き込んだり、心無い言葉を口にしてしまったりするのか。
■嫉妬心は「幸せ度の低い人」に
川名さんは、こうも言う。
「人間とはそれほど理性的な動物ではなく、その心を突き動かしているのは、むしろ、感情や欲求のウェートが大きい。また、人間は自分の幸せが一番で、他人と自分を比較して幸せを感じる側面も大きいのです。さらに、自らが幸福でない人は『他人の幸福は“しゃくの種”、他人の不幸は“蜜の味”』という嫉妬の心を示しがちになるので、他人の結婚について、あら探しをしてしまうのです」
独身であろうと既婚者であろうと、自分の幸せを実感できている人は、他人の結婚をとやかく言おうとはしない。嫉妬心を抱いてしまうのは、幸せ度の低い人に目立つという。
「20代前半くらいの人は、著名人や友人の結婚に接しても、自分自身の結婚に希望を持っている年代なので、嫉妬心が湧くことは少ないと思います。ところが、だんだんと歳を重ね、結婚したいのになかなかできなかったり、さらに収入面などで結婚への壁を感じていたりする人は焦る気持ちも加わって、人の幸せがしゃくに感じるようになります。また、結婚はしていても今の夫婦生活に幸せを感じられていない人は、そうした独身者と同じ心理状態にあり、他人の幸せそうな姿に嫉妬してしまいやすくなります」