小中高と大分の公立校で学び、米・ハーバード大学、ジュリアード音楽院を卒業・修了したバイオリニストの廣津留すみれさん(29)。その活動は音楽だけにとどまらず、大学の教壇に立ったり、情報番組のコメンテーターを務めたりと、幅広い。「才女」のひと言では片付けられない廣津留さんに、教育やキャリアのことなど、さまざまな悩みや疑問を投げかけていくAERA dot.連載。今回は、誰もが一度は疑問に思ったことがあるかもしれない「学校の勉強は役に立つのか?」問題について聞いてみた。
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Q. 古文や漢文など学校の勉強は実社会で役に立ちそうにないのに、なんで勉強しないといけないんだろうと思ってしまいます。廣津留さんはどう思いますか?
A. 実社会で役に立つか立たないかは、一旦横に置いて考えるといいと思います。学校の勉強って、私はタスク処理のスキルを磨く機会だと思ってやっていました(笑)。社会に出たら毎日タスクがあって、To Doリストはいっぱいです。そのなかには無駄に思えるものだってあるわけですよね。古文や漢文は勉強しなくても生きていけるけれど、学生としてのTo Doリストに入っているもの。効率よくタスクをこなすスキルを身につけるという気持ちで取り組んでみてはどうでしょうか。古文の単語をいかにたくさん覚えられるか、どうすれば効率よく問題集を解き終えられるのかなど、一つずつを何かのミッションのように考えていくと、ゲーム感覚でクリアしていくことができるんじゃないかなと思います。例えば古文の「いとおかし」という単語を覚えるにしても、どうやったら楽しく覚えられるかを考える。一つひとつのミッションをいかに楽しんでクリアするかを考える習慣をつけると、実社会でもどんなタスクに対しても楽しんで取り組めるようになると思います。
私の場合、性格的にやるべきことは全てこなさないと気が済まないタイプ。学生時代にも、バイオリンだけをやるために他のことを全部すっ飛ばしているとは絶対に思われたくなかった。子どもの頃、宿題の問題集を解くときに母から「答えを全部写して提出すればいいじゃない?」と言われたんですが(笑)、私は真面目に解きたいし順番にやっていきたかったんです。学校の勉強は効率よくやるべきことをこなしつつ、妥協せずにテストでも満点を目指す。その上で好きなことをやっているほうが説得力もありますし、先生も文句を言えないだろう!と思っていました(笑)。