マンガ『Dr. Eggs』(「グランドジャンプ」で連載中)は、高校時代に勉強ができたという理由で医学部に入学した主人公が医学部でのさまざまな経験を通して成長していくマンガです。作者は『ドラゴン桜』などで知られる三田紀房さん。医学生の大学生活を描く点で新しいジャンルのマンガで、『Dr. Eggs』を読んだ近畿大学医学部皮膚科学教室主任教授の大塚篤司医師は「内容がリアル」と絶賛します。三田さんと大塚医師がオンラインで対談し、マンガの舞台裏や医学部のリアルについて語りました。前編後編に分けてお届けします。
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大塚篤司(以下、大塚):『Dr.Eggs』を最新刊の4巻まで読ませていただきました。すごく描写がリアルで自分の医学部のころも思い出しましたし、今の学生のことも反映されていると思います。僕は国立大学の信州大学卒なので、4巻に描かれている私立大学の医学生と国立大学の医学生の違いはまさに感じていたそのものでした。こうした医学部の話はどうやって情報を得ているんですか?
三田紀房(以下、三田):これはですね、山形大学の医学部が全面的に協力してくれているんです。ひとりの学生さんがアドバイザーとしてストーリーにかかわってくれていて、事細かにリサーチして、必要な画像なども全部作ってくれました。解剖実習の場面を描くときには、学生さんたちが解剖のシーンを再現してくれたんです。
大塚:えー! 解剖実習の、あのホルマリンの匂いが鼻の中から抜けないとか、解剖実習が終わった後に肉を食べられなくなって、だんだん慣れていくと肉を食べに行ける話など、僕らが医学生だったときに経験したそのままなんですよね。先生は医療系のマンガを描くのは、今回初めてになりますか?
三田:そうですね、本当に初経験ですね。ずっと昔から「グランドジャンプ」の前編集長に「医療ものを描かないか」と勧められていたんですけれど、医療ものはもうほとんどのジャンルが描き尽くされた感じで、なかなか新しい切り口は難しいなと思っていたんです。