大塚:すごく解剖の部分がリアルで、逆に一般の人が「おっ」ってなってしまうぐらいリアルに描かれています。ちなみに、解剖実習は見学されたのでしょうか。
三田:いや、それはないんですよね。ただ参考資料は見せていただきましたし、協力してくれる医学生がメスを入れる角度など細かな部分まで写真で撮影し、資料を送ってくれます。おそらく解剖を描いたマンガってこれが最初で最後なんだろうぐらいな感じで、描けるときに全て描きつくすぐらいの感じでは描いたつもりなんですけどね。
大塚:さすが一流のマンガ家さんは違いますね。メスは若いときから握ったほうがいいというお話ですけど、僕が医学生のとき、解剖実習で感じたのが、解剖をするのもやっぱりうまい下手があってですね。「この神経を出してください」みたいな形で言われるんですが、そのときにすごくきれいにサッと出す人と全然出せないで最後神経を切って終わってしまう人と、腕の差が歴然と出てくるんです。この差ってたぶん外科医になったときに出てくる差だと思っていて、あのとき解剖がうまかった子は外科医になって今いい手術をしているんですよね。だからそういう意味で、僕は解剖学の授業は自分が外科に適性があるかどうかを見る、医学生にとってはいい指標の一つだなと思っています。
(構成/杉村健)