「ねえ、今度はどんなプロジェクトをすんの?」
説明を待てずに質問してくるぷれりか(幼児)クラスの生徒たち。今日から始まる新しいプロジェクトの内容が気になって仕方がないようです。
「じゃあ、ヒントあげよか?」
私は子どもたちに目を瞑るよう指示し、机の上に差し出した小さな手に「あるもの」をそっと置きました。
「それが何か当ててみ。生き物じゃないから安心しいや」
想定外の展開に驚きを見せながらも、彼らは手の中の感触を何度も確かめて予想を立てます。
「んーー、スーパーボールかなあ?」
「これ、どんぐりじゃない?」
その様子を保護者の方が微笑ましそうに眺めています。
私の合図とともに目を開けると、そこにはころころしたクヌギのどんぐりがありました。若干緊張気味だった子どもたちの表情が一気に緩みます。
そう、ぷれりかクラスが新たに取り組むのは「どんぐりプロジェクト」。みんなでどんぐり博士になることを目指します。
「『どんぐり』という言葉を聞いて思いついたことを教えてくれへん?」
いつもの通り探究堂のプロジェクト学習はテーマに関する既有知識を確認するところからスタートです。
「マテバシイは細長い!」
「クヌギは太くて、まん丸い!」
子どもたちは挙手して、元気よく答えてくれました。普段から馴染みのあるどんぐりの名前が真っ先に登場します。
「クヌギの帽子がトゲトゲなのは珍しいよねえ」
「あれって、動物が食べにくいようにしてるんじゃない?」
「じゃあ、他のどんぐりの帽子にはなぜトゲトゲがないんだろう?」
「(他のどんぐりは)殻が硬くて大丈夫なんかも」
「帽子が一回取れると元に戻らないのも不思議やなあ」
「木についている時だけ必要で、役目が終わったから取れるんかな?」
保護者と子どもたちが一緒になって意見を出し合いましたが、どんぐりの帽子(殻斗)ひとつとっても謎だらけです。
他にも以下のような疑問が浮かび上がってきました。
・どんぐりの中に虫がよくいるが、成長すると何になるのか?
・なぜ秋にしかどんぐりを見かけないのか?
・たくさん落ちているどんぐりは全部木になるのか?
本プロジェクトでこれらの謎を解明していくのがとても楽しみです。
既有知識の確認を終える頃には、子どもたちが早くどんぐりを拾いに行きたくてうずうずしている様子が伝わってきました。
あいにくこの日の天気予報は小雨。空がどんより曇って今にも雨が降り出しそうです。両手が空いている方が何かと便利なので、子どもたちはレインコートを着て、目的地の京都御苑へいざ出発です!