高校では「ことば科」で培った力を生かし、各自が卒業研究に取り組む。1年生では、仮説の立て方や論証方法を学び、2年生で各自テーマを設定。3年生で論文を仕上げる。
「いざ研究が始まると自分で専門家や大学の研究室にアドバイスを求めに行く生徒もいます。一連の活動で生徒は自然と自分は大学で何を学びたいのかを考えるようになります」(同)
今回はもう一校、目を引く高校があった。九大で1位の城南だ。同大の一般入試では地元の「御三家」である修猷館、筑紫丘、福岡が上位を独占するが、AOではその3校を抑えて城南がトップだ。
同校の下田浩一主幹教諭によると、秘密は95年度から取り組んできた生徒主体の進路学習「ドリカムプラン」にあるという。
その合言葉は「『行ける大学』から『行きたい大学』へ」。生徒自身が学内外でのさまざまな体験を通して10年後、20年後の自分の姿を思い描き、進みたい分野と行きたい大学・学部を選ぼうというのがドリカムプラン。AO入試と重なる理念を20年以上前から取り入れ、実践してきたことが結実しているという。
推薦・AO合格者を着実に伸ばしている学校もある。
鳥取県の青翔開智。私立の中高一貫校で、14年開校と新しく、しかも1学年わずか40人という小規模な学校だが、約半数が推薦・AO入試で進学する。しかも着実に京大、九大など難関大に合格者を出している。もう一校は東京・世田谷にある私立の中高一貫校、三田国際学園。同校の学習・進路指導部長でもある田中潤教頭によれば、約半数が推薦・AOで進学し、「特に早慶上智に強い」と胸を張る。
「教員も前職がメーカー社員やプログラマー、記者など多様です。そのため生徒がテーマを探したり深めたりする過程で様々な観点からサポートができます」
学びの面で両校に共通するのは「探究型」。大学選びでは各自の研究テーマを「より深く学べるか」といった観点に重きを置く。青翔開智の広報担当、横井麻衣子さんは、こう話す。