体にいい油を選ぶための重要ポイントは「そのままかけて『生』で食べるか、火を通すか」。加熱でせっかくの成分が激変する油もある(撮影/写真部・東川哲也)
体にいい油を選ぶための重要ポイントは「そのままかけて『生』で食べるか、火を通すか」。加熱でせっかくの成分が激変する油もある(撮影/写真部・東川哲也)
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体にいい油ランキング(AERA 2019年4月29日-5月6日合併号より)
体にいい油ランキング(AERA 2019年4月29日-5月6日合併号より)

 油の成分には、体にいい働きをするものもあれば、悪影響をもたらすものもある。例えば、外で買って食べるものに大量に含まれるリノール酸。どのように付き合っていけばいいのだろうか、決め手は摂取する油のバランスだ。

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 リノール酸(オメガ6)は、アマニ油のα‐リノレン酸(オメガ3)とカナ表記が似ているので間違えやすいが、性質は全く異なる。リノール酸をきちんと理解して付き合っていけるかが、メタボや高脂血症などの生活習慣病を恐れる中高年の健康維持につながっていく。

 リノール酸(オメガ6)は人体で作れず、食品から取らなくてはならない必須脂肪酸だ。1950年代にはアメリカの研究結果から、血中コレステロールや血圧を下げ、心筋梗塞や動脈硬化を予防するといった健康効果が期待できるとして世界中で脚光を浴びた。

 調味料としての安定性もよく、スーパーで買えるほとんどの油に高い比率で含まれている。レストランや持ち帰りの総菜にもリノール酸が多い油が大量に使われている。

「日本では60年代以降に家で作るハンバーグやグラタンが一般化し、食の欧米化が進みました。その頃からリノール酸の多い油の使用量が一気に増えています」(日本製粉ヘルスケア事業部主席の有川由紀子さん)

 リノール酸は取りすぎると善玉コレステロールを減らし、生活習慣病を引き起こす。非常に酸化しやすいのも弱点で、アレルギーやがんなどを引き起こしやすいともされる。子ども時代に家の食卓が一気に洋食化した、現在40~50代の人にお聞きしたい。あなたの周りでアトピーや花粉症、乳がん大腸がんなどを発症する人が、自分の親世代より多いと感じたことはないだろうか?

 リノール酸とα‐リノレン酸は、体の中で作用・反作用のように働き方が拮抗する。家での普段使いの油や、外で買って食べるものに大量に入っているリノール酸だが、それと反対の働きをするα‐リノレン酸(アマニ油やえごま油、青背の魚)などをバランスよく取ることで、健康効果が期待できるのだ。厚労省による「日本人の食事摂取基準(2015年版)」では、オメガ6(リノール酸)とオメガ3(α‐リノレン酸)の摂取比率は4:1と推奨されている。

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