いきものたちのブラックともいえる厳しい生態やオキテを、脱力系のタッチで紹介する『ブラックないきもの図鑑』(朝日新聞出版)が12月14日に発売された。動物たちが自分の言葉で、厳しい現実を嘆き、その解消策となる格言も示される。今年の干支でもあるイノシシの嘆きとは?
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【ブラックないきものからの悩み】
イノシシですが…… エサ放り投げられますが、砂がつくのイヤなんです(メス・3さい・トウモロコシ好き)
私、色々ありまして、今は動物園にお世話になってます。皆さん良くしてくださるので、ありがたいんですけどね。一つだけ不満があるんです。
あの、リンゴとか鶏肉とか、えさをくれるじゃないですか。それはうれしいんですけど、地面に放り投げるのやめてくれませんかね? カットしたリンゴとか、断面にすごい砂が付くんですよ。食べたとき、口の中がジャリってするじゃないですか。あれ、本当嫌なんですよね。だから私、一つ一つ水場に運んで洗ってから食べてるんですよ。
人間の皆さんはね、私らのこと「猪突猛進」なんて言って、後先考えずに突っ走るみたいに思ってるかもしれませんけどね。実際はすごい計画的ですから。楽しみは後にとっておくタイプなんです。いっつも突撃してるわけじゃありませんから。
■こんなふうに生きてます
スイスの動物園でくらすイノシシは、砂の付いたリンゴをくわえると、園内に流れる小川まで運んでいき、鼻先で30秒ほどつついて洗ってから食べるのだそうです。砂で歯が削られるのを防ぐために、自然と洗うことを覚えたと考えられています。ただし大好物のトウモロコシが出たときは、汚れていてもがまんできず、すぐに食べてしまうのだとか。
■お悩み解消格言
過去と他人は変えられない。しかし、自分と未来は変えられる。(エリック・バーン/医師)
(文/ラポリ)