出産で大きな負担がかかったママのカラダはとても疲れています。でも赤ちゃんのお世話などで忙しく、なかなか自分のケアをする時間がありません。9月10日発売のアエラムック「AERA with Baby スペシャル保存版 母子ふたりきりって大変!」では、産婦人科医に「産後のカラダケア」について聞きました。
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出産後は、赤ちゃんの体重が順調に増えているか、母乳がちゃんと足りているのか、不安に思うママは少なくありません。赤ちゃんのことが最優先になり、自分の栄養のことは後回しにしがちです。
佐野産婦人科医院院長の今野秀洋医師は、妊娠期から低栄養気味の人が多いことを懸念しています。産後も子育てが忙しくてきちんと食事が取れなかったり、産後ダイエットを優先したりして栄養不足になると、産後の回復に影響すると指摘します。特に不足しがちな栄養素は、鉄やカルシウム、ビタミン、タンパク質などです。
まずは鉄。今野医師によると、妊娠によって体を流れる血液の量は通常の約1・5倍になるため、血液中の赤血球の割合が低下し、貧血気味になります。産後、血液の量は元に戻りますが、出産時に出血量が多かった人やもともと貧血気味の人は貧血が続き、疲れやすくなります。サプリや鉄剤で鉄分を補給することが必要です。
次にカルシウム。産後、エストロゲンの分泌が少ない期間は、骨密度も低くなりやすい状態です。さらに、授乳中のママからは母乳を赤ちゃんに与えることで1日約220ミリグラムのカルシウムが失われるといわれます。
アエラが行ったアンケートでも、授乳中に骨粗鬆症になった人や複数回骨折したという人がいました。授乳中はカルシウムを積極的に摂取するのがいいでしょう。
赤ちゃんのお世話で落ち着いて食べる暇がなくておにぎりやパンなど炭水化物中心の食事になってしまうという人も多く、タンパク質やビタミン、ミネラルも不足しがちになります。産後1カ月は外出を控える人も多いですが、日光を浴びることで、カルシウム吸収を助けるビタミンDが生成されます。ビタミンDは免疫力を上げる効果もあるので、積極的に取り入れたい栄養素です。