松本さんがなぜ医師から筋トレを止められたのかは明らかではないが、こうした健康上のリスクを負う可能性を指摘されたことも考えられる。ただ、糖尿病については、筋トレの時間が長いほどリスクが低くなる結果となったため、何が良いのか、あるいは害になるのかは一概には言えない。岡田さんも「自分の体ですから、どのような鍛え方をするかは基本的にその人の自由で良いと思います」と話す。

 岡田さんが注意喚起するのは、動画サイトなどに投稿されるいいかげんな情報だ。筋トレブームといわれるようになった近年は、誤ったトレーニング方法や、“バズる”ことを目的にしているとしか考えられない情報が散乱しているという。

「これをやればすぐにこんな効果が出る、という飛びつきたくなる話は、信じたら負けだと考えてください」

 だが、憧れの体をすぐにでも手に入れたいと、そうした情報をうのみにしてしまったり、いきなりプロ並みの高負荷のトレーニングと食事に取り組む人が少なくない。こうした人たちは、まずトレーニングが続かないという。

「筋トレは、超のつく地道な作業です。初心者はまずは週1回、1種目でも、自分が続けられるトレーニングから始めることが肝要です。ペースがつくれたら、少しずつトレーニングの量を増やしていけばいい。体の変化を感じなくても、焦る必要はありません。たとえ現状維持に近い成果しか出なかったとしても、それは高齢になってからも元気でいられるということですから、大きな価値があります。そんな考え方をしていただきながら、トレーニングが日常の習慣になるようにしてほしいと思います」

 千里の道も一歩から。そして、継続は力なり。自らの「体の声」を聞き続けながら鍛えることで、肉体は少しずつ変わっていくのだ。

(AERA dot.編集部・國府田英之)

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