ジャンクフードばかり食べているイメージのアメリカ。だが、ロサンゼルスでは、体の負担にならない食べ物を提供するレストランやカフェが増えている。しかも、しっかり食べられて美味しい。ライター・三橋ゆか里がレポートする。
【写真特集で見る】しっかり食べられて美味しい!“健康意識が高い”朝食とは?
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そのお店は、米ロサンゼルスの郊外にある、最近注目のヒップな街、シルバーレイクの中心からやや離れたところにあった。周辺に目印になりそうな有名店はないが、付近に着けば迷うことはない。午前6時30分に開店する「スクウォール(Sqirl)」には、平日なのに午前9時になっても人だかりが絶えないからだ。列で隣り合わせた男性は「早朝から待つだけのことはある」と笑顔だ。
パティシエのジェシカ・コーズローさん(36)が、スクウォールをジャム専門店としてオープンしたのは、2011年3月。飾らず自然体で話す彼女は、生粋のロサンゼルスっ子だ。
「店舗スペースでジャム教室を開いているうちに、カフェを開きたいと思ったの」(コーズローさん)
翌年の12年から、健康志向が高い人に向け、早朝から午後4時までオープンするカフェとして再スタートした。
コーズローさんの料理は、一言で言えば、“カリフォルニア料理”。カリフォルニア州で採れた新鮮な食品をふんだんに使い、世界各国の食文化を融合する。多様な人種が住んでいるカリフォルニアならではの料理だ。
「味や食感が豊富で一皿だけで満足できる」ことを念頭に考案する彼女のメニューには、サプライズが多い。タイ料理でお馴染みのクリスピーサラダがスクウォール流に姿を変えたのが、「クリスピーライスサラダ」。味付けはあっさりで、サラダに玄米という組み合わせが新しい。「ソッカパンケーキ」は、ひよこ豆の粉を使った南フランスの名物料理。ぴり辛いパンケーキとレバノン発祥のディップソースの相性が絶妙で、ペロリとたいらげてしまう。
店頭で購入できる季節の果物を使ったジャムは、時に3日もかけて、一度に35瓶ずつ年間3万5千瓶も作られる。お店では、リコッタチーズとともに、フランスの菓子パンであるブリオッシュトーストにたっぷりのせていただく。