野菜はサンタバーバラのロス・オリボスの日系人の有機農家、ザ・ガーデン・オブなどで購入し食材にこだわる。一方で、水不足に加担しないようにと、大量に水を必要とするルッコラの使用をやめるなど、故郷カリフォルニアへの愛が感じられる。ロサンゼルスの西、マリブにある約4050平方メートルの古いサボテン農家を、干ばつに強い野菜農家に改造してしまったほどだ。
農家は18年5月にオープンを控える2店舗目「テル(Tel)」のために準備された。日本人街で知られるソーテルにオープンするテルは、110席からなる正真正銘のディナーレストラン。「自分のルーツや経験に忠実でいたい」と語るコーズローさんが家庭で食べて育ったユダヤ料理を、カリフォルニア流にアレンジして提供する予定だ。
大半のアメリカ人がジャンクフードを好むのは、今も昔も変わらない。ただ、ロサンゼルスは特殊だ。見た目勝負のハリウッドの影響もあってか、健康志向の人が多い。早起きして仕事の前にジムに行き、夜は仕事を早めに切り上げる。
特にこだわるのは食事だ。肉や魚だけでなく、乳製品などの動物性の食品を一切口にしないビーガン、小麦などの穀物に含まれるグルテンを摂取しないグルテンフリーなどを好む人が少なくない。
こうした人が大切にするのが、朝食。朝食をしっかり食べて夜は少なめに。ヘルシーなメニューは薄味で素朴になりがちだが、ロサンゼルスでは最近、コーズローさんのお店のように、しっかり食べられて美味しいメニューを提供するカフェやレストランが増えている。
16年9月にオープンしたのは、「ピー・ワイ・ティー(P.Y.T.)」。話しぶりから温厚な印象を受けるが、ジョセフ・センテーノさん(43)が手がけるのは、これで5店舗目。
「特別認可の高校で農業を教えるプログラムの立ち上げに携わったことをきっかけに、野菜が主役のレストランを思いついた」(センテーノさん)