技術と人材を守るべき(※写真はイメージ)
技術と人材を守るべき(※写真はイメージ)
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 沈まぬはずの“電機の巨艦”が1兆円超の巨額損失の渦に飲み込まれようとしている。原因は原発事業の失敗だ。成長期や昭和のニッポンを力強く牽引し、明日は今日より豊かな生活をもたらした名門企業で、一体何が起こったのか。そのとき社員や関係者は何を見て、どう感じたのか。そして何が元凶だったのか。AERA 2017年4月17日号では「苦境の東芝」を大特集。

 日本のモノ作りの将来を、もう一度担いたい。その夢は叶うのだろうか。関係者やジャーナリストの分析を紹介する。

●「技術と人材を守るべき」(経済ジャーナリスト/磯山友幸 55)

 3月末の記者会見も辻褄合わせに見えました。WHに破産法をかけたからといって、なぜリスクが遮断できると言い切れるのか。再生の絵が描けているとは思えません。

 東芝メディカルシステムズ売却前にWHの損失がわかっていたなら、東芝自体に会社更生法を適用し、採算部門を残し、再建策を取るべきだったでしょう。現在の事業売却は債権回収に回っているだけで、エレベーターや原発の再稼働で十数万人もの社員を養えるとは到底思えない。稼ぎ頭をここまで切り離したら、再建は極めて難しいでしょう。

 日本的企業が行き詰まるケースは今後も増えるでしょう。過剰に債務を抱えた会社の法的整備は、悪ではなく、必要であるはずです。日本では銀行と株主が守られ、社員がないがしろにされている。シャープは鴻海に売却されたが、本当に社員のためになったのか。東芝の存続云々ではなく、廃炉へ向けた原子力技術も含め、日本の技術や人材を守る視点が必要だと思います。

●「経営判断はまっとう」(静岡大学創造科学技術大学院特任教授/竹林洋一 65/1980~2002年在籍 研究開発)

 私が知る東芝は「まっとう」な会社です。1980年に配属された研究所は画期的な技術を研究開発し、事業部は社会に役立つ商品開発をする、本物のプロ集団でした。85年にMITメディアラボに留学し、人工知能の第一人者マービン・ミンスキーと知己を得ましたが、当時の技術トップや研究所の幹部の教養や知識は、彼らと対等に議論できるレベルでした。

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