●「日本の電機業界は役割を終えた」(元技術系社員/男性 52/1989~92年在籍)
東芝危機の一番の原因は、国内電機メーカーの置かれた状況が変わったからではないか。現存の事業を守り、原発も頑張ろうとしたが、無理をしすぎた。電機メーカー大手は、アメリカはGE、ヨーロッパはシーメンスやフィリップスくらいしか残っていない。現在は複数の会社がひしめく日本もいずれ淘汰され、1社になるだろう。
●「半導体売却は致命的な損失」(中央大学/竹内健教授 49/1993~2007年在籍 研究開発)
半導体事業の売却は、無念というほかありません。東芝の半導体の競争力は30年かけて培ってきたもの。今後も収益を上げ続けるだろう半導体事業の、日本で最後の勝ち組です。フラッシュメモリー市場には数社しか残っておらず、合従連衡を積極的に仕掛ける側のはずだったのに、原発事業の巨額損失で、競合企業に買われることになってしまった。分社化した東芝メモリが上場するまで、1年限定で国有化するなどして、対処できないのか。目先の資金繰りばかりしていて、戦略がなさすぎる。
東芝メモリの経営権を失うことは、この分野の未来を失うことを意味します。日本が世界を主導するはずだったモノづくりがひとつ、終わろうとしているのです。
※AERA 2017年4月17日号