具体的に示された改革の方策は3点だ。学習者が能動的に学ぶAL視点での授業改革を含めた学習指導要領の見直しによる高等学校教育改革。能動的学習方法を身につけた入学者に対応するためカリキュラムの見直しなどを求めた大学教育改革。

 そして目玉は、大学入試センター試験を廃止する大学入学者選抜改革だ。高校までの学習の理解度を見る「高等学校基礎学力テスト(仮称)」が新設され、現行のセンター試験が「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」に変わる。

 新テストは、これまでの記憶力中心の知識偏重型試験から、「『思考力・判断力・表現力』を中心に評価」(高大接続システム改革会議「最終報告」)するものに変わる。具体的には、記述式問題が導入されたり、英語の4技能評価が推進されたりする。細かい実施方針は今年6月までをメドに示される方向だ。

 改革の背景には、人口減少、グローバル化、AIの進化といった時代に対応した教育に転換しなければならないという強い危機感がある。高大接続システム改革会議座長を務めた日本学術振興会の安西祐一郎理事長は3月4日、都内で開かれたフォーラムで教育関係者を前にこう檄を飛ばした。

「偏差値トップの超進学校の生徒は、対人関係能力が極めて不足している。これからの時代に必要なのは『総合力』だ」

●対話を続けて気づく

 2020年度からの新テストを受けるのは、今春から中学3年生になる子どもたちだが、すでに現場は変わり始めている。

 昨年11月末に行われた埼玉県立浦和高校(さいたま市)の公開研究授業。今年も東京大学に33人の合格者を出した県下屈指の進学校だ。

「昨日の実験で、気づいたことを説明できる人は?」

 授業の冒頭、長瀬義行教諭(物理)は教科書を開かず、板書もしない。一人の生徒が手を挙げて説明をすると、

「今の話を聞いて、想像できる? 同じものを見ていても、人によって観点は違う」

 そう畳み掛け、何人もの生徒と対話を続ける。ある生徒の発言を板書し、こう呼び掛けた。

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