日本の学歴社会の頂点に君臨してきた「東大法学部」。政財官に人脈を伸ばし、国を支えてきたえたエリートたちの母体だ。良くも悪くもスタイルを変えてこなかった「象牙の塔」にも、時代の激変の波は押し寄せる。偏差値序列社会は終わるのか。かつて「砂漠」と称された東大法学部はいま、脱皮の時を迎えている。AERA 2017年3月27日号では、東大法学部を大特集。
試験を変えなければ、教育は変わらない──。新センター試験対策に、すでに学校現場が動き始めている。キーワードは「アクティブラーニング」「英語」だ。いったい、何が評価される時代になるのか。
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2月、桐蔭学園中学校・中等教育学校(横浜市)で新しい形の受験があった。その名もAL(アクティブラーニング)入試。配点は250点満点で、教科横断型の総合思考力問題が100点、算数基礎が100点、面接が50点だ。
総合思考力問題では、事前に映像の講義を受ける。何を学ぶのかを意識して映像を見て、必要なことを書けるかが試される。
地形図などを解説する映像講義を受けたあと、地図を見ながらこんな問いに挑戦する。
「あなたなら、この中のどこに太陽光発電所を作りますか?」
正解はない。映像講義で得た知識をどう活用するかが問われている。教務部次長の川妻篤史教諭は、AL入試の説明会で東大合格を目指した人工知能(AI)「東ロボくん」の話をする。
「知識の詰め込みだけで東ロボくんは難関私大の合格圏内に入ったが、論述式の問題に課題があり、東大受験を断念した。東ロボくんでは対応できない入試に変わろうとしている今、自ら課題を見つけ、探究する力が求められています」
●思考力・判断力を重視
教育が、劇的に変わろうとしている。文部科学省の高大接続システム改革会議が最終報告で公表した今後の時代を生きる上で必要な「学力の3要素」は、
(1)十分な知識・技能(2)それらを基盤にして答えが一つに定まらない問題に自ら解を見いだしていく思考力・判断力・表現力等の能力(3)これらの基になる主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度。