私は、その判断については是も非もないと思う。障害のある子を育てていけるかどうかという環境にかかっているから。この国の空気はまだ冷たい。私がおなかの子に障害があるってわかって産むことを決めたのは、育てていける環境にあったから。でも環境がない人もいる。
しかも、産んだらペナルティーとして「まずは親が育てろ」みたいな社会の圧力がある。在宅医療の介護者はレスパイト(休息を取ること)も許されない。24時間働けますかの世界。異常ですよ。
私たちも真輝が2歳3カ月で退院したとき、胃ろうで数時間おきに食事を取っていたし、気管切開しているのでこまめなたんの吸引が必要でした。夜じゅう「あ、ご飯だ」「あ、アラームが鳴ってる」という状態。一睡もできない日もあるし、3時間寝られたら御の字という生活でした。当時は自民党の総務会長で仕事も忙しかったから、本当に大変で。(指さして)この足の傷は当時、目が回って官邸の階段から落ちたときのものです。
──今も生活は落ち着きませんか。
今は、真輝が午後6時半に保育園から帰宅して、だいたい午後7~8時に訪問看護があって、メディカルチェックとお風呂。その1時間にだいたい夫が急いでご飯をつくって食べます。私も会合があっても2次会には行かず、午後9時すぎには帰ります。月曜日と水曜日は休肝日と決め、保育園のお迎えも私が担当。その日は夫に息抜きしてもらっています。
●母子同伴求める学校
──野田さんのブログに登場する真輝くんは、とってもわんぱくで、「医療的ケア児」のイメージを覆します。
医療的ケア児というと、イメージがわかないでしょう。今回の改正障害者総合支援法案の国会審議のときには、真輝の写真を資料にほしいと頼まれました。人工呼吸器や胃ろうをしていても、他の子と同じように歩いたり走ったりできる子もいる。
医療が発達してこれまで助からなかった赤ちゃんも助かるようになり、医療的ケア児は増えていたんだけど、肝心の社会基盤を支える法律の中で存在が認められていなかった。だから問題が次々起きた。
一番大変なのは教育。医師法のもと、家族以外は医師、看護師しか医療的ケアができない。でも、学校には医師、看護師は常時配置されていないので、例えば、時折たんの吸引と胃ろうをしてくれればちゃんと小学校に通える子が通えず、義務教育が受けられないという憲法違反にも近いことが起きている。うちの息子も来年小学生になるんだけど、特別支援学校ですら看護師がいなくて、通学するには「母子同伴で」と。でもそんなの学校じゃないし、毎日学校行ったら、母親の私は国会議員の仕事ができなくなっちゃう。
養護教諭がある一定の研修を受ければ医療的ケアをできるようにしたらいい。食物アレルギーの子どものために、緊急時には教師や保育士もエピペンを打てるようになった。変えようと思ったらできるんです。
●見えがあるから伸びる
──保育園でも入園を断られるケースがほとんどです。