今年、「保育園落ちた日本死ね!!!」のブログが話題になりましたが、そもそも落ちる保育園もないんだよというのが我々。
私は、自分の給料から看護師を雇って、真輝を保育園に通わせています。看護師がいれば真輝のような子でも保育園に通えた、というエビデンスを出して、制度が変われば、次の人たちは実費負担をせずとも保育園に通えるようになる。そのために捨て石になろうと思っています。
なにより、子どもは保育園に通って成長する。うちの子もトイレトレーニングは保育園のおかげで進んだ。やっぱり親には甘えちゃうから、家にいるときはオムツがいいって言う。でも保育園では1回ももらさずにおしっこもうんちもできるようになった。子どもだって見えがある。だから伸びる。
いま私が掲げようと思っている政策が、保育園・幼稚園の義務化。そうすれば、障害のある子も当然入る権利が出てくる。健常の子たちも小さいうちから多様性を知ることができます。
●健常者なんて幻
──社会は障害者とどう接していいのかもわかっていません。
まずは慣れてほしいと思うんですよね。やっぱり無知・無関心がやっかいな壁。日本ではもっともっとコマーシャルにも障害者を使ってもらいたい。アメリカでは、当たり前のようにオムツのコマーシャルにダウン症の子が出演していたりする。
大手広告会社の社長と会ったときに「どんどん出してください」と伝えたら、視聴者から「障害者をさらすな」という意見が来ると言っていました。
でもどんどんさらしてほしい。変な話、ちょっと前まで(お笑いのトレンディエンジェルの)斎藤さんのように薄毛の人もテレビに出てこないタイプだった。でもさらされているうちに私たちも気にならなくなった。障害者もさらしていくしかない。
ただ、ブログやメディアで息子の話や写真を載せることについて、夫婦で意見が分かれているんです。夫は一般人なので、二つ心配していて。息子が物心ついたとき傷つくかもしれない、もうひとつは顔が知られて社会でターゲットにされたらどうするのかと。私も不安はありますけど、真輝のおかげで声を上げられなかった医療的ケア児がアクティブになって、息子の存在が社会の役に立っている。彼のプライドを保てると言って強引に夫を説き伏せています。
──この社会は障害者と健常者に溝があります。