小学生の学用品として欠かせないのが文房具。大きな違いはないのかと思いきや、オーストリアの小学生が使う筆箱や筆記用具は日本とは違うといいます。なかでも驚きなのが万年筆が必需品だという点です。小学生から万年筆を使うことのメリットとは? ウィーン在住歴20年以上のライター、御影実さんのレポートをお届けします。
【写真】万年筆で書き間違えたら? 消しゴムがわりに使うものとは(ほか全8枚)筆箱は弁当箱サイズ!
ランドセルとは異なり、筆箱は見た目も機能も日本のものとは違います。こちらの筆箱は、弁当箱ほど大きく、3~4層に折りたたまれているので、机に広げるとかなりのスペースを取ります。

小1で用意する筆箱の中身は、鉛筆5本以上、色鉛筆8色以上、消しゴム、ハサミ、鉛筆削り、定規など。学年が上がると、三角定規やコンパス、後述する万年筆や修正ペンなども増えてきますので、ある程度の大きさと厚さは必要なようです。
筆箱もランドセルと同じくカラフルでバリエーション豊富。ランドセルにセットでついてきたおそろいのものを4年間使い続ける人も多いです。


筆箱が巨大にも関わらず、お道具箱は別にあり、こちらにはハサミやノリ、接着剤や絵具などを入れてあります。箱に持ち手がついた形をしていて、こちらも個性たっぷりのデザインです。

テストや宿題には、万年筆が必須!
オーストリアの学校で使われる文房具で、私が一番驚いたのは、万年筆が学校で普段使いされていることです。ドイツやオーストリアでは、小学校3年生以降、中学生や高校生も、毎日のノートや宿題で万年筆を使用しますし、テストにいたっては万年筆必須で、鉛筆は禁止です。
小3の後半になると、担任から「そろそろ子どもに合った万年筆を探しておくように」と案内があり、デザインや持ち方について色々調べました。小学生向けの万年筆は、大人向けの落ち着いたデザインとは異なり、ピンクや水色など持ち手のバリエーションも多く、テレビCMでも「クールなキッズのためのクールな万年筆!」といったキャッチコピーをよく見かけます。


実際わが家の子供たちが万年筆を使っているのを見ていると、気になる点がいくつかあります。まず、カートリッジの交換時に手を汚しやすく、毎日手に青いシミをつけて帰ってきます。また、自分の手に合う万年筆に出会うまで買い替える必要があり、字が上手くない子供も、万年筆を買い替えて、読みやすくなることもあります。相性が難しい文房具でもありますね。ただ、1本10ユーロ(1,600円)程度ですので、2、3本買い替えれば自分に合ったペンに巡り合えます。
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