上野裕一郎監督(立教大学提供)
上野裕一郎監督(立教大学提供)
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 箱根駅伝に55年ぶりに出場する立教大。創立150周年となる2024年の出場を目指し、18年に監督に就任した上野裕一郎監督(37)の指導で、1年早い目標達成となった。指導法や目標などについて監督に話を聞いた。

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──1年早い達成です。

「実力ある選手が多かったので無理ではないと思っていたけど、彼らの『立教大を早く箱根に』という思いが、今回実を結んだ。予選会前に『監督、箱根に連れていきます』と言ってくれた選手が多くいました。みんなそれぐらい自信があったんです。去年までそんなこと、誰も口にしませんでしたから。内に秘めた闘争心があるんです。今回、4年生は1人もエントリーされていません。でも、後輩にはすごく慕われていて、1~3年生たちは予選会で『4年生を箱根に連れていきたい』と言っていました。うちは先輩後輩という上下関係はほとんどないです。風通しがよく、みんなで頑張る。だれかが投げ出してしまったらだめだから、苦しい人がいればみんなで支える。『ひとりは全員のため。全員はひとりのため』。これが大切だと改めて感じています」

──選手をスカウトする際、「箱根駅伝」を意識して選びますか。

「箱根駅伝に出よう、ということはあまり言っていません。競技生活を送っていく上で、こうやって育てていきたい、というのを伝えています。それぞれの目標も聞いて、こちらも目指すところを話して、それに納得した選手が来てくれている。最終的にそれが箱根につながる選手もいれば、トラックで日の丸を背負って、世界陸上やオリンピックに出場するのが目標という選手もいるので。ただこの先、『箱根で活躍しよう』と言えるようになるのは大きいですね」

──監督に就任して4年です。「走る監督」「日本一速い監督」と言われ、一緒に走りながらの指導は珍しいです。

「私が強いのは5000メートルや1万メートルです。万全な体調で望めばどの学生にも負けないと思いますよ(笑)。指導はしていますが、目標に向かって一緒に走っているという感じです。『寄り添い型』です。こちらからの一方通行にはしません。陸上競技は自分で考えないとだめ。練習一つにしても、どういう気持ちでどうやって取り組みたいのか。自主性を重んじています。今は(指導の)スタイルチェンジをしているところです。選手の走りを少し遠くから見て気になったところがあれば、すぐ駆け寄って、200~300メートルほど一緒に走ってアドバイスはします。動きが悪くなる前兆であることも多いので、そういう時は選手の近くを走りながら、足が接地する時の音などにも気をつけて、走りを分析するようにしています」

箱根駅伝を前に練習する、立教大の選手たち。左は上野裕一郎監督
箱根駅伝を前に練習する、立教大の選手たち。左は上野裕一郎監督
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高校時代の恩師との対決は