遠藤会長にはわかる。全犬種触り一番温厚なのは秋田犬。しかし、秋田犬にも「噛みつく」系統というのがある。気性が荒い犬をあげてはならない。穏やかで、ザギトワ好みの犬。そんな犬を選んだ。マサルはその上、社交的でもあった。これまで多くのメディアの前で堂々とそのお姿を披露してくれている。
一方、最後の最後で「落選」したカッチャンは、マサルより、少し小心者だ。
「マサルのほうがやんちゃで、あっけらかんとしているところがありますね。(報道陣の前など)人前に出る機会が多いので、マサルちゃんでよかったのかもしれません」
兄弟姉妹でも、性格が違うのは人間と同じ。ただ、この2匹、一方は秋田で、一方はロシアで育っていく。
「そんなカッチャンに昨年、ザギトワさんが会ったんですよ」
昨年、遠藤会長が来阪中のザギトワに会ったとき、「自宅にカッチャンがいるよ」、そんな話をすると、
「『会いに行きたい』とおっしゃり、その日のうちに、お母様と通訳さんと3人で、わが家にやってきました」
そのときのザギトワは多忙な日でありながら、日暮れで寒くなっても、「そろそろ近くにお好み焼きでも食べに行こう」と遠藤会長が声をかけても、カッチャンと庭で戯れていたそうだ。
「散歩に連れていっていいですか?と聞いたり、抱っこしたり、わが家の犬を一通り触っていました」
そのときの様子をザギトワは、インスタにもあげ、カッチャンとの対面をこう記している。
《マサルの妹、Katyanです とてもかわいく、とてもスマートな彼女に会えて、本当に、とても嬉しいです》
さらに4カ月後。二人(!)は再会。ところは、大阪市内のアイスショーの会見場。ザギトワはここで報道陣を驚かせたという。
「調教していたんですよ。皆さんの前で。近くにあったお饅頭を取ってきて、(マテなどを)やっていましたね。ギャラリーは拍手し、ザギトワさんも誇らしげでした。大したもんです。普段からやっているから、できるんでしょう。天性なんでしょうね。カッチャンもなついていました」(遠藤会長)
調教師にもなれるね。そう遠藤会長が言うと笑ったそうだ。
「彼女は、日本料理店をやりたいという夢があるのです。絵も天才的にうまい。性格もかわいらしい。容姿もキレイで、何でもできる」