岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
撮影/岩合光昭 (c)Iwago Photographic Office
動物写真家・岩合光昭さんが見つけた“いい猫(こ)”を紹介する「今週の猫」。今回は、山形県の山寺(立石寺)の「岩にしみ入る猫の声」です。
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山門をくぐると、さわやかな秋の風が通り抜けた。紅葉が格別に美しい。寺務所で暮らしている猫が岩の上で来訪者を待っていた。
芭蕉が「閑(しずか)さや岩にしみ入る蝉の声」という句を詠んだ山寺。静寂の中、山の上まで続く1015段の石段を一段、一段踏みしめていけば煩悩を消し去ることができるという。
猫の里親募集の貼り紙がふと目についた。時々、捨て猫がいるそうだ。煩悩が消えた先には慈悲の心があるはず。優しい家族が一日も早く現れますように。
デジタル岩合
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※週刊朝日 2019年11月8日号