西洋医学だけでなく、さまざまな療法でがんに立ち向かい、人間をまるごととらえるホリスティック医学を提唱する帯津良一(おびつ・りょういち)氏。死ぬまでボケない「健脳」養生法を説く。今回のテーマは「好奇心」。
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【ポイント】
(1)新しいことに接して、それを自分のものにする
(2)好奇心を持つことで心がときめく
(3)新しいことに接して心をワクワクさせよう
学習能力は大脳皮質の発達した動物ほど高くなり、人間で飛躍的に増大するといいます。
学ぶというのは人間にとって欠くことのできない行為であって、それこそが実は、大脳皮質を刺激して認知能力を高めることになるのではないでしょうか。
学ぶというと、学校での勉強の延長のように思うかもしれませんが、もっと気楽に考えてもいいように思います。新しいことに接して、それを自分のものにする。それで十分に学びだと思うのです。
そして、その学びの前提になる新しいことを求める気持ちも大事だと思います。いわゆる好奇心です。好奇心を持つことによって、心がワクワクします。私がこれまでに何度も重要性を語ってきた、心のときめきにつながります。
私にとって好奇心の筆頭は読書です。というよりは本屋さん巡りかもしれません。ひいきにしている本屋さんが東京・神田神保町にあります。昔から店内のクリーム色の色調と独特な紙の匂いが好きでした。1カ月に1度は訪れ、1時間ほどかけて、見てまわります。そうすると、大抵1、2冊の本が私を待っています。そういう本は平積みされているのではなく、本棚にたった一冊、そっと置いてあるのです。これを手に取るときの心のときめきは格別です。
先日見つけた本は『「死」とは何か』(シェリー・ケーガン、文響社)というものでした。知らない出版社でしたが、こんな本を出しているのを知るとうれしくなります。
買い求めたら必ず読むというものではありません。手に入れただけで満足だったりするのです。それでは学びにならないと言われるかもしれませんが、新しいものに心を動かされただけでよしとしています。