うつ病を克服し、偏差値29から東大に合格。ベストセラー『偏差値29から東大に合格した私の超独学勉強法』の著者・杉山奈津子さんが、今や4歳児母。日々子育てに奮闘する中で見えてきた“なっちゃん流教育論”をお届けします。
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言葉は、世の中の流れによってどんどん移り変わっていきます。
例えば、「食べられる」を「食べれる」と言う「ら抜き言葉」。ほかにも、漢字のニュアンスの問題として、障害者を障碍者に書き換えたり、子どもを「子供」と書かないようになったり。男女平等の問題で看護婦を看護師と言うようにしたり。古くからある言葉を変えることを批判する人もいますが、実は、この流れは現代だけに限りません。鎌倉時代、兼好法師は言葉に関して「昔はよかったが今はよくない」と自分の書物の中で嘆いています。平安時代の清少納言も、枕草子で「最近の若者は言葉が乱れている」と言っているし、古代エジプトのピラミッドにさえ「最近の若者は……」と書かれていた、という話があるくらいです。
私も、言葉や言い回しに関しては「過敏すぎる。変えなくてもいいんじゃないか」と思うものもある一方、「これは変えるべき」と思うものがあります。かたくなに「全ての今ある言葉を乱すな」と批判せず、柔軟に対応していけばいいんじゃないかなと思っています。
■チベットでの2歳児は「自由なブラブラ期」
かつて育児の関連で、北海道大学の川田学准教授が、「子どものイヤイヤ期を、ブラブラ期に言い換えてはどうか」という提案をしている記事を読みました。私は、これこそまさに変えてほしい言葉だと思いました。そして実際に「今はブラブラ期」と思うことで、かなり気分がラクになりました。
日本や欧米では、2歳児は「魔の2歳児」「イヤイヤ期」「第一次反抗期」などと呼ばれ、非常に面倒で大変な時期とされています。うちの息子も、ご飯を食べさせようとしても「嫌だ」と口をあけず、「自分で」とスプーンを持って、こぼして服をビシャビシャにしたり周りにぼろぼろ落としたり、本当に手がかかりました。4歳になった今でも、以前よりは手先も器用になって手がかからなくなりましたが、ドアをあける、コップにストローをさすというような、大人にとってどうでもいいことでも「自分がやりたかった」と言いだし、泣きわめいて最初からやり直すこともあります。