しかし、この教授の記事によると、チベットでは2歳児は「ただ自由にブラブラしているだけの時期」と、特にマイナスの印象をもたれていないそうです。心理学は欧米が先行しているので「魔の2歳児」なんて言葉が一般的になっていますが、世界中のほとんどの国ではそんな否定的な言葉は使われないとのこと。そして、欧米や日本と、他の国の育児で違う点といえば、やはり周囲の環境を含めた、育児に関する「おおらかさ」や「ゆとり」でしょう。

 考えてみれば、イヤイヤ期は「親からみて」子どもがイヤイヤ言いだすやっかいな時期なわけです。でも、子どもにしてみれば、自分の中に自我が芽生えて、いろいろなことに興味をもち始めるという、とっても楽しい時期なのです。

 2歳児は、考えながら行動するのではなく、行動しながら考えるそうです。ならば、「やっちゃダメ」と止めるよりもたくさん行動させて、自分の身をもって「こうすると」「こうなる」という因果関係を結ばせてあげたほうが、子どもにとって大きな成長につながります。

■嫌な時期をプラスの言葉に変える

 私の息子が「自分でやる」と言いだしたときは「これが噂のイヤイヤ期か」と捉えてしまい、精神的にも肉体的にも疲れたものでした。行動がモタモタして時間がかかるし、失敗して部屋が汚れるし……でもそれは、「イヤイヤ期」という時期は嫌なものだという思い込みがあったからで、ブラブラしてしまう時期なら「仕方ない」と思えるようになりました。個人的には、「ブラブラ期」という自由な感じより、もっと「脳の急速成長期」のように大きくプラスの言葉に変えてもらえると、イライラしていた子どもの行動にも「ああ、いま息子の脳がすごく成長しているんだな」と大らかに考えることができると思います。歩いている途中で急に立ち止まって石を集めだしたり、自分の力では開けられないフタを必死に開けようとしたりしていても、「いま彼は考えているのか」「がんばれ」と、急かさずに待って応援してあげる余裕をもつことができます。

 そもそも、自我が芽生えず、なんでも親にやってもらっていたら、大人になってから何もできないダメな人間になってしまうわけです。本来ならば、「自分でやる」と言いだすことは、喜んで祝福すべきことです。ただ、生まれてから2年しか経っていないので、圧倒的経験不足から失敗が多いだけ。それを「ほら、できないじゃない」と怒るほうがおかしな気もします(確かに後片付けや周囲に迷惑をかけてしまうのは大変ですが)。

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「ワンオペ育児」も嫌い