健康寿命に影響を及ぼすアブラ。料理に使うオイルやマヨネーズなど目に見えるアブラを気にする人は多いものの、加工食品に含まれるアブラについてはどうだろうか。それは、よく口にするがあまりアブラと意識しない「隠れアブラ」。存在を知って上手に付き合うコツをまとめた。
健康志向が高まるなか、注目が集まるアブラ。スーパーにはさまざまな種類が並び、「体にいいものを」と厳選する人が増えた。
だが、料理に使うアブラとは別に、加工食品からもかなりのアブラを摂取しているのをご存じだろうか。
「アブラで健康を維持していきたいなら、家庭で料理をするときに使うアブラよりも、まずは加工食品に含まれる“隠れアブラ”の存在に気づいて、対策をとることのほうが先決です」
こう話すのは、植物油研究家で歯科技工士の林裕之さんだ。娘のアトピー性皮膚炎をきっかけに、10年ほど前から妻で料理研究家の葉子さんとともに、“少油生活”を送っている。
「少油生活で最も苦労するのは外食ですが、スーパーなどで売られている加工食品でアブラが使用されていないものを探すのも、至難の業。それなりの知識が必要になります」(林さん)
経験をもとに有効的なアブラのとり方をまとめたのが、著書『「隠れ油」という大問題』(三五館)だ。この本では、弁当や菓子、ファストフードなど、人気の加工食品や外食31食品の脂質量やアブラの種類などが紹介されている。いずれも消費者になじみが深く、大人から子どもまで口にする機会の多い食品だ。
林さんによると、脂質量は企業のホームページにある商品の説明や、商品の成分表で確認。アブラの種類は、メーカーのお客さま相談室に問い合わせるなどして調べたという。
「ラベルなどに表示していないものもありましたが、口に入るものの素材について知っておきたいと思ったのです」(同)
今回、編集部では同書のデータをもとに、改めて各企業に問い合わせた。ポテトチップスや、チーズバーガーとフライポテトのセット、唐揚げ弁当に、30グラム以上のアブラが含まれているのは想像がつくが、カレールー、栄養補助食品、菓子、パンなどにもアブラは使われている。その種類はコーン油やパーム油、大豆油などさまざまだ。