これまでにも免疫療法として、スギ花粉エキスを皮下注射で投与する方法があった。しかし通院が頻回なこと、注射が痛いこと、注射したところが腫れるなどの副作用が起こりやすいことから、敬遠する人が多かった。その点、舌下免疫療法は自分で自宅で投与でき、痛みもない。副作用としてまれに強いアレルギー反応を起こす場合があるが、多くは口内やのどの腫れで、ほとんどはしばらくすると起こらなくなる。
現在のエキスは冷蔵保存が必要で、かつ12歳以上でなければ受けられないが、年内に保険承認が予定されている錠剤タイプのものは常温保存が可能で、出張や旅行にも簡便に持ち運びができるようになるという。さらに、5歳以上から受けられるようになる見込みだ。
舌下免疫療法は、海外では約30年前から実施されているが、日本では保険で受けられるようになってからまだ時間が経っていない。効果やリスクについては、臨床データを集めてさらに詳しく解析するということがこれからの課題だ。
舌下免疫療法は3年以上、続ける必要がある。
「海外の研究では、3年間継続投与すると中断してもその後2年間は再発しないことがわかっています。再発したら再び舌下免疫療法をおこなえば、同じような効果が期待できます」(橋口医師)
※週刊朝日 2017年3月31日号